「今の職場が辛い…」「キャリアアップしたい…」「もっと自分に合った働き方がしたい…」
看護師として働く中で、このような悩みを抱える方は少なくありません。実際に多くの看護師が転職を経験しており、2022年の調査では、病院勤務の看護師全体の離職率は11.6%、特に中途採用者は16.8%と、約6人に1人が1年以内に離職しているという結果が出ています。
参照:日本看護協会「2022 年 病院看護・助産実態調査 報告書」
転職は、より良い職場環境やキャリアアップを実現するチャンスですが、闇雲に進めてしまうと、思わぬ失敗や後悔に繋がる可能性もあります。
そこで本記事では、転職理由、時期、転職活動の進め方、おすすめの転職先など、具体的な内容をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
看護師の主な転職理由4選
看護師が転職を検討する理由は多岐にわたります。ここでは、最も一般的な4つの理由を詳しく見ていきましょう。
看護師の人間関係からくるストレス
看護師の仕事はチームワークが不可欠ですが、その分、人間関係の悩みも避けては通れないものです。
女性が多い職場特有のトラブルや、医師との上下関係に悩むケースは少なくありません。
指導を受ける際に、理不尽に叱責されたり、陰口を叩かれたりすることで、精神的な苦痛を感じ、転職を考える看護師は多くいます。
特に、新人看護師は、経験不足からミスをしてしまうことも多く、先輩看護師からの厳しい指導に耐えられず、辞めてしまうケースも少なくありません。
職場でのパワハラやいじめも、看護師の転職理由の中でも深刻な問題です。無視、仲間外れ、暴言、過剰な業務負荷など、様々な形でパワハラやいじめが行われており、被害を受けた看護師は、精神的なダメージを受け、仕事へのモチベーションを失ってしまうことがあります。
また、医師とのコミュニケーション不足や、同僚との連携がうまくいかないことも、看護師のストレスの原因となります。
医師からの指示が曖昧だったり、看護師の意見が尊重されなかったりすることで、仕事にやりがいを感じられなくなり、転職を考える看護師もいます。
転職先の人間関係が心配な方は看護師向け転職サイトの活用がおすすめです。
看護師の労働環境の過酷さ
看護師は、人の命を預かるという責任感から、長時間労働や夜勤を厭わず働く人が多いです。しかし、慢性的な人手不足も相まって、労働環境はますます過酷さを増しており、心身に不調をきたす看護師も少なくありません。
人手不足や業務量の増加により、看護師の長時間労働は深刻な問題となっています。残業時間が慢性的に長くなり、プライベートの時間が確保できない、心身の疲労が蓄積するなどの理由から、転職を考える看護師は少なくありません。
夜勤は、生活リズムの乱れや睡眠不足を引き起こし、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。また、夜間は看護師の人数が少ないため、一人あたりの負担が大きくなり、緊急時の対応など、精神的なプレッシャーも大きくなります。
看護師は、病院の勤務体制上、土日祝日や年末年始も勤務することが多く、休暇を取得するのが難しい場合があります。また、人手不足の職場では、休暇を取得しづらい雰囲気があり、プライベートの予定を立てにくい、家族や友人との時間が取れないなどの理由から、転職を考える看護師もいます。
看護師の給与と待遇への不満
看護師の給与は、一般的には他の職種と比べて高いと言われています。しかし、仕事内容や責任の重さに比べて、給与水準が低いと感じたり、昇給やボーナスの額に不満を抱いたりする看護師も少なくありません。
夜勤や休日出勤など、不規則な勤務体系や、高い専門性、精神的・肉体的負担の大きさなどを考慮すると、看護師の給与が十分ではないと感じる人は多くいます。
また、病院の経営状況や人事評価制度によっては、ボーナスや昇給の額が低く、モチベーションが低下する、頑張りが報われないと感じる看護師もいます。
現状の看護師からキャリアアップへの挑戦
看護師としてさらに成長したい、新しい分野に挑戦したいという意欲から転職を考える人も多くいます。
認定看護師や専門看護師の資格取得を目指したり、特定の診療科に特化したりするために、より専門性の高い病院へ転職するケースなどがあります。
看護師は、常に新しい知識や技術を学び続ける必要があります。しかし、病院によっては、教育体制が整っていなかったり、研修の機会が少なかったりすることがあります。そのため、スキルアップや資格取得を目指したい看護師は、教育体制が充実した病院へ転職を考えることがあります。
特定の診療科や、専門性の高い看護に興味を持つ看護師は、その分野に特化した病院へ転職することで、専門知識やスキルを深め、キャリアアップを目指したいと考えることがあります。
看護師のおすすめの転職時期
看護師の転職活動は、時期によって求人数や採用状況が大きく変わります。希望の職場に転職するためには、適切な時期を見極めることが重要です。
1年間を通して見た場合、看護師の転職市場は以下のような傾向があります。
●1月~3月は新年度に向けて求人市場が活発化!
この時期は、多くの医療機関が4月からの新年度に向けて、組織体制の強化や人員補充を行うため、年間を通して最も求人数が増加する時期です。
特に、病院側は、年度末に退職する看護師が多く出ることを想定し、3月までに欠員を埋めようと積極的に採用活動を行います。 そのため、転職希望者にとっては、選択肢が豊富にあり、希望の条件に合った職場を見つけやすいという大きなメリットがあります。
また、4月入職を希望する新卒看護師の採用活動も活発になるため、それに伴い、中途採用枠も拡大される傾向にあります。
この時期に転職活動をするメリットには以下のようなものがあります。
- 求人数が豊富: 様々な医療機関、様々な診療科の求人から、自分に合った職場を選べる可能性が高い。
- 競争率が比較的低い: 他の時期と比べて、転職活動をしている人が少ないため、選考を突破しやすくなる。
- 新年度からのスタート: 新しい環境で心機一転、キャリアをスタートできる。
●4月~6月は新卒採用が落ち着き、中途採用にシフト
4月は、新卒看護師が入職する時期のため、医療機関は新人の受け入れ準備や研修などで多忙を極めます。そのため、中途採用活動は一時的に落ち着きを見せる傾向にあります。
しかし、全ての医療機関が中途採用をストップするわけではありません。 新卒採用で目標人数を確保できなかった病院や、新卒看護師の早期退職が発生した場合などは、4月以降も継続的に中途採用を行う場合があります。
また、この時期は、5月の大型連休明けから転職活動を開始する人が増え始めるため、求人数は少ないものの、徐々に競争率は高くなっていく傾向にあります。
この時期に転職活動をするメリットには以下のようなものがあります。
- 落ち着いた環境で転職活動を進められる: 年始と比べて、医療機関側も時間に余裕があるため、面接や見学の対応がスムーズに進みやすい。
- じっくりと職場選びができる: 求人数は多くないものの、焦らずに自分に合った職場を見つけることができる。
●7月~9月はボーナス後の退職者増加で求人増加!
7月~9月は、夏のボーナス支給後ということもあり、退職する看護師が増える時期です。医療機関は、この退職者による欠員を補充するため、積極的に中途採用を行います。
特に、この時期は、即戦力となる経験豊富な看護師の需要が高まります。病院側は、すぐに現場で活躍できる人材を求めているため、経験豊富な看護師にとっては、転職を有利に進められる時期と言えるでしょう。
この時期に転職活動をするメリットには以下のようなものがあります。
- 即戦力として求められる: 経験を活かして、より良い条件で転職できる可能性がある。
- 給与交渉がしやすい: 病院側も人材確保を急いでいるため、給与や待遇面で交渉しやすい。
●10月~12月:年末年始の休暇を見据えた求人が増加
10月以降は、年末年始の休暇に向けて、退職する看護師が増加することを見越して、医療機関が再び人材確保に動き出す時期です。
この時期は、1月~3月と同様に求人数が増加する傾向にありますが、競争率も高くなるため、早めの行動が重要です。
また、12月は、医療機関が年末年始の業務で多忙を極めるため、採用活動がやや鈍化する傾向にあります。そのため、12月に転職活動を始める場合は、年明けの入職を視野に入れると良いでしょう。
この時期に転職活動をするメリット
- 求人数が多い: 年末年始の休暇を挟んで、新しい職場でスタートできる。
経験年数別にみる看護師の転職タイミング
看護師の経験年数によって、転職に適した時期やアピールポイントは異なります。ここでは、経験年数別に転職のタイミングを見ていきましょう。
看護師1年目から2年目の転職時期
1年目~2年目の新人看護師は、まだ経験が浅いため、転職活動は慎重に進める必要があります。
「すぐに辞めてしまうのではないか」と採用担当者に思われないように、転職理由を明確に伝え、将来のキャリアプランと結びつけながら、ポテンシャルの高さや成長意欲をアピールすることが重要です。
●教育体制が充実している病院を選ぶ
新人看護師の場合、転職先として教育体制が充実している病院を選ぶことが大切です。プリセプター制度や院内研修などが充実している病院であれば、基礎的な看護技術をしっかりと身に付けることができますし、先輩看護師から丁寧に指導を受けることができます。
●第二新卒の求人を探す
第二新卒とは、一般的に学校を卒業して3年以内の人材を指します。第二新卒の看護師を求めている病院は、新人向けの教育・研修体制が整っていることがほとんどです。そのため、経験の浅い看護師でも、安心して転職活動を進められます。
看護師3年目から5年目の転職時期
3年目~5年目は、基本的な看護技術が身についており、即戦力として期待されるため、比較的転職しやすい時期と言えます。希望の診療科や働き方など、自分のキャリアプランを明確にして転職活動を進めましょう。
●専門性を高めるための転職
3年目~5年目の看護師は、特定の診療科に特化したり、認定看護師や専門看護師の資格取得を目指したりするなど、専門性を高めるための転職がおすすめです。専門性の高い病院に転職することで、より高度な看護技術や知識を身に付けることができます。
●キャリアアップのための転職
リーダーシップやマネジメント能力を高めたい場合は、規模の大きい病院や、教育体制が充実している病院への転職がおすすめです。リーダー研修やマネジメント研修などを受講することで、キャリアアップに必要なスキルを習得することができます。
看護師6年目以上の転職時期
6年目以降は、リーダーシップやマネジメント能力を求められるポジションの求人が増えてきます。これまでの経験を活かして、より責任ある立場で活躍したいという人におすすめです。
●管理職を目指すための転職
管理職を目指したい場合は、病院の看護部長や看護師長などの求人を探してみましょう。管理職の求人は、経験豊富な看護師を求めていることが多いため、6年目以降の看護師であれば、積極的に応募することができます。
●ワークライフバランスを重視した転職
結婚や出産、育児、介護など、ライフイベントに合わせて働き方を変えたい場合は、ワークライフバランスを重視した転職がおすすめです。日勤のみの職場や、時短勤務が可能な職場など、自分のライフスタイルに合った職場を選びましょう。
看護師の転職エージェントの選び方と活用法
自分に合った転職エージェントを見つけることは、転職活動成功させるために重要になります。転職エージェント選びや活用法は、以下のポイントを参考にしましょう。
看護師の転職エージェントの選び方
転職エージェントは、総合型や専門のものがありますが、自分に合ったエージェントを選ぶことが大切です。
○専門性で選ぶ
- 総合型エージェント: 様々な業界・職種の求人を取り扱っており、多くの選択肢から比較検討したい場合に最適です。ただし、看護師専門の知識や情報量は少ない場合があります。
- 看護師専門エージェント: 看護師の求人のみに特化しており、専門知識が豊富で、より詳細な情報提供やキャリア相談が期待できます。転職理由や希望条件に合う求人を効率的に探したい場合におすすめです。
- さらに特化したエージェント: 地域密着型、特定の診療科目や雇用形態に強いなど、さらに専門性を絞ったエージェントもあります。
○ サービス内容で選ぶ
- 求人数: 保有している求人数が多いほど、希望に合う求人が見つかる可能性が高まります。ただし、量だけでなく質も重要です。
- 非公開求人の有無: 一般公開されていない優良な求人を多数保有しているエージェントもあります。
- キャリア相談の質: 転職活動の軸となるキャリアプランを一緒に考えてくれるか、親身になって相談に乗ってくれるかなど、担当コンサルタントとの相性も重要です。
- サポート体制: 面接対策、履歴書・職務経歴書の添削、条件交渉など、手厚いサポートを提供してくれるエージェントもあります。
- 利用者の評判: 実際に利用した方の口コミや評判を参考に、エージェントの質やサービス内容を客観的に判断しましょう。
○自分との相性で選ぶ
- 担当コンサルタントとの相性: 転職活動は長期戦になる可能性もあるため、信頼できるコンサルタントと出会えるかが重要です。
- エージェントの雰囲気: 実際に訪問したり、電話で相談したりして、エージェントの雰囲気を肌で感じてみましょう。
看護師の転職エージェンの活用法
転職エージェントの選び方に加え、活用法も重要です。
いかに転職エージェントを有効活用するかによって、転職活動の結果は大きく変わります。
○ 非公開求人の活用
多くの転職エージェントは、一般に公開されていない非公開求人を持っています。これらは通常、より魅力的な条件の職場が多いため、エージェントに積極的に非公開求人について尋ねることが重要です。
○ 綿密な事前準備を行う
キャリアコンサルタントとの初回面談では、自分のキャリアプラン、希望する勤務地、給与、働き方(正職員か非正職員か)、特に重視する福利厚生など、具体的な希望条件を明確に伝えましょう。また、なぜ転職を考えているのか、どのような環境を求めているのかも伝えることで、エージェントが適切な求人を紹介しやすくなります。
○ 進捗の定期的な確認
エージェントとのコミュニケーションは定期的に行い、自分の転職活動の進捗を確認しましょう。エージェントが他の応募者とも対応しているため、定期的に自己の存在をアピールし、状況更新を求めることが大切です。
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